教師用しおり
教師会ではこんなことを考えながら、生徒の勉強の指導をし、保護者とご一緒に国語や日本語教育をしています。
教えたいことが教えられるには:
・ 生徒や父母とよい人間関係をつくりましょう。
生徒や父母がこの先生に日本語を習って、うれしいなという気持ちにな
るように努めましょう。
・ 先生に頼れる気持ちをもたすよう努めていますか。
どの生徒にも均等に心をかけてあげましょう。全員に声をかける機会が
ありますか。皆から返事が返ってきますか。
・ 楽しいクラスを作りましょう。
教室に入ってくる生徒は笑顔で迎えましょう。
授業中に笑えることがありますか。
叱る代わりに褒めてみましょう。
叱ると生徒の心に防御の壁が出来て、教えたいことが教えにくくなるよ
うです。
どの生徒も褒める機会を作りましょう。
生徒は元気ですか。習いたいと思っていますか。帰るときには来週来る
のが楽しみなようなことを伝えてみましょう。
授業の用意:
全学年を通したカリキュラム・進度目標
前期後期のカリキュラム ―教師会で検討する。
各月のカリキュラム―第一金曜日に生徒に私、父母と生徒にその月の予定を知ら
せ、父母の家庭での指導に役立てていただく。
各時間のカリキュラム―教師用に細かく作る。
今日教えることのポイント(後で生徒がポイントを理解したかを観察する。)
学習活動が「読む、聞く、話す、書く、考える」等の日本語の全領域に渡るよ
うな配分。
黒板に書くところの用意。(生徒のノートもどのように書かせるか考えてお
く。)
宿題の用意。
プリント物の用意。
板書カード、漢字カード、その他の教材の準備。
宿題の用意:週一度の学校なので、家庭での指導がやりやすいような宿題を用意する。
・ 復習―学校で習ったことの繰り返しや応用。(ノートを見れば出来ること)
―言葉の練習。辞書を引く、短文を作る。
―漢字の練習。
―段落毎のまとめを書く。
―教科書を読み返す。―声を出して正しく読む練習は大切です。
家庭での音読を励行する。
低学年では父母にシールを貼ってもらったり、
読み方のコメントを書いてもらうと励みにな
る。
―補習問題を、通信教育やワークブックから選ぶ。
・予習 ―漢字の読み方を調べる。
―意味が分からない言葉を見つける ―辞書を引く。
―教科書を読む。
・ 作文や日記―授業で予め題材について話し合ったり、作文メモを書くなどの用意をしておくことが大切。ただ作文を書きなさいと言っても、なかなか書けないし、書く意味も少ない。
・
そのほか、発表の用意、教材作り等。
・ 注意:復習は生徒が自分で出来る程度の内容が望ましい。興味をもって出来るとよい。
予習は父母に手伝ってもらうようになるので、父母が指導できる範囲の内
容にする。
宿題はきちんと添削をして、直ぐ返す。(夏休みの宿題も二週間以内に返
す)
宿題は一年分きちんと保存するよう指導する。
やる気が起きるよう、明瞭な内容、美的配分、読みやすい字等に気を配る。
・ 夏休みや冬休みにも、宿題を出す。少しずつでも日本語にふれる機会を作ることが目的になっている。内容は6月・12月の教師会で相談する。
テスト:テストには教えたことだけを出す。
どんな問題が出るかはっきり伝える。ノートに書いてあること。宿題でしたこと。
不意のテストはあまり意味がない。
テストの目的は、大切なことをしっかり覚えなおす機会をもつ。
どのくらい理解しているか調べる。
教え方や教える内容の反省の材料にも使う。
漢字の学習:
漢字は意味を知り、使い方を学んでから、句や熟語として練習する。
教科書に出てきた範囲の使い方の指導でよい。
筆順もみてやり、書き方などは出来る限り個別指導をするのがよい。
ひとつの漢字を漫然と書かせるのは効果が薄い。
授業中に気をつけること:
初めにその日に何を勉強するのかはっきり伝える。
授業を受けるのに向いていない生徒はいないか気をつける。
(疲れていないか、気になることはないか、叱られたりしていないか)
生徒には柔らかい声でしかも退屈にならないように、いろいろな調子で話
す。
(大きな声、一本調子の声、甲高い声にならないように気をつける。)
丁寧に話す。特に文の語尾をはっきりと正しい文で話す。
先生の質問や説明が生徒によく分かるように工夫する。
同じ作業を長く続けない。一時間のうちに読む、書く、話す、聞く等をほ
どよく配分する。
ゲーム、遊びなどもたまに取り入れる。
特に「先生が一人で話す」という時間が長すぎないように気をつける。
先生や友達が教科書を読むのを聞いているのは退屈なもの、聞きながら、
大切なところに印をつける
分からない字や言葉に印をつける
与えられた質問の答えを見つける
低学年なら、指で読んでいる所をたどらせる
等の作業をさせるのもよい。
黒板を上手に利用する。
学年に合った字の大きさ
色チョークの活用
字は略さないで書く
マス目の黒板の利用、生徒に背を向けて長い間書かない。沢山書きたい時
は、漢字の練習や教科書の黙読、短文作り等の作業をさせている間に書く。
大きい紙に予め書いておけば貼るだけで使える。
生徒に「分かりましたか」と聞かない。いくつか質問すれば分かったかわからないかすぐ知ることが出来る。
ノートがきちんと使えるように指導する。かなり高学年までマス目のノートを使った方がよい。
生徒がしゃべったり、ほかのことを始めたら:
授業を面白くする。
内容が難し過ぎないか、やさしすぎないか考え、すばやく改める。
大勢が騒ぐようだったら、2,3分まったく違うことをしてみる。
予習が出来ていない生徒が騒ぐようだったら、毎回の様子を見て家庭学習が
出来るように父母と連絡をとって障害を取り除く。
勉強の進度の記録:
生徒の向上度や宿題の進度が分かるように、テストの結果・宿題の達成度・読
み方などを記録として保管する。
単元テストをときどきする。
ご家庭に協力していただいていること:必要に応じて父母と確認する。
家庭では正しい日本語を丁寧に話す。
教科書で習っている言葉を意識して会話の中に入れる。
文章の音読を聞いてやり、正しく読むように助ける。
宿題をやり遂げるように励まし、助ける。
絵本や物語を一緒に読んでやり聞かせたりする。
生徒が遅刻しないようにする。
授業に必要なものを忘れないようにチェックする。
父母と教師の信頼関係:
単元のねらい、指導目標などを父母に理解していただくことは、学習指導上
よい効果がある。また、先生がどんな意図で、どんな教え方を、何を目標に
どんな宿題を出しているかが理解されると、おのずと教師と父母によい関係
がうまれ、よい教育効果がでる。
理解していただく手段―年報
―月案カリキュラム(第一金曜日に配る)
―連絡帳、お知らせ等の利用
―懇談会、面接
―授業参観、父母の授業への参加
―電話連絡
万一、父母との間で指導上のことで問題があったりしたらすみやかに校長や
教師会と相談する。
教師会:毎月一回教師会を行う。
議事は前もって当番や校長に伝えるのが望ましい。
その月の当番の人が、議事録をとり、次の金曜日までに議事録を配る。議事録
は次の教師会で承認する。
教師会で話されたことは、部外者には言わない。
年間を通して、図書、文集、教材、行事などの仕事を分担する。
教師会の活動:毎週の授業のほかに次のような活動をしている。
入学式、終業式
学芸会、弁論大会
作品集の発行
懇談会
研修会
学校や教室の使い方:
授業は5時45分に始まる。始まる5分前までに教室に入って、生徒を迎える。
特に生徒だけが教室に残らないように気をつける。
授業の後は当番の人に協力して、机やいすを元の位置に戻し、黒板を消し、ご
みを広い、窓を閉め、忘れ物がないか確認してから、電気を消し、戸を閉めて
帰る。
カナダの学校には職員室がないので教室に大切なものも置いてある。先生の机
は使わない。
生徒が借用校の迷惑になるようなことをしないよう気を配る。
食べ物は原則として学校へ持ってこないよう指導する。
その他:
休んだ生徒にはなんらかの方法で宿題を届ける。
プリント物は、5時45分までに係りに出しておくと、7時までに出来ている。
カレッジコピー(店)を利用した時は、請求書を会計に出す。
月間に負担した立て替え金は、月末にPetty Cashの請求書に領収書を添えて、
事務係に出す。
毎回出欠をとり、月末に事務係に提出する。
月案、および単元テストとその結果は、反省や申し送り事項を添えて、次の月
の教師会に提出する。
過去の月案は、参考のため見ることが出来る。
3月に皆勤賞、在学証書を出す時、リストに間違いないか確認する。
学校にある教材:
教科書、先生用指導書、通信教育、各種ワークブック、図書の本、マス目の黒
板、絵のかける黒板(フェルトペン用)、かるた、紙芝居、ビデオテープ(特
に日本テレビの国語教材ビデオ)、録音テープ、習字用具、幼稚園用教材、は
さみ、のり、フェルトペン、クレヨン、あいうえおカード、マス目・たて線の
紙、原稿用紙、教育関係の本、海外子女教育などの参考書、各種報告書、過去
のカリキュラム、作品集、年報
生徒の持ち物:
文房具、ノート(国語用、漢字用)、大きめのカバン、教科書、辞書(3、4
年以上はいつももってくるように)、上履き